昨日は、好天の中で投票に行きました。
この天気だと投票率が危ないなあと思っていたらば、やっぱり最低だったようですね。

小選挙区投票率、戦後最低の59.32% 総務省発表 @日経新聞

総務省が17日発表した衆院選の投票率は小選挙区で59.32%となり、戦後最低を記録した。比例代表は59.31%。これまでの最低は小選挙区比例代表並立制で初めて実施された1996年の衆院選で、小選挙区59.65%、比例代表59.62%だった。今回はそれぞれ0.3ポイントあまり低い水準だ。



前回2009年よりも約10ポイントダウンだそうです。
その前の郵政選挙も投票率は高かった。
今回は争点が見えず、ある政党がブームになるような熱狂もなかったということなのでしょうか。

でも、東日本大震災後初の選挙で、原発が争点だったんじゃないの? 復興に力を入れる政党を選ぶんじゃないの? そういう話はどこへ行ってしまったのでしょう。

自分のTLでは投票する人が多かったとか、Facebookでは選挙の話が盛り上がっていたよね、とかいう声もありますけど、その人が意識があれば、そういう人がフォローしたり友達だったりするわけで、所詮は似たもの同士の会話。
ソーシャルメディアの中では見えない、リアルな日本は、まだまだ政治を意識することもなく、経済だけが大事なのだなと思います。

投票所が混んでいたという話も、東京の一部で、しかも投票所でいくつも投票するはめになったからでしょう。それがネットでは、まるで投票所の多くで起きているかに見える。象徴的な話のように思えました。

投票所に長蛇、ツイッターで「なぜ?」 各地で混乱@朝日新聞

今回の衆院選では、知事選や都議補選と重なった東京都内で、投票所や開票所での混乱が相次いだ。


各地の投票所で長蛇の列ができている件。@togetter

「投票率低調」報道の一方で、なぜか「投票所に今までにない行列ができている」という声が多数@Naverまとめ

でも、これも理由は単純で、しかも東京など一部だけの話。

用紙の種類多く投票所に長い列 ダブル選の都内 @日経新聞

衆院選と知事選が重なった東京都内の投票所では、投票用紙の種類の多さにまごつく有権者も少なくなかった。順番待ちの長い行列ができ、しびれを切らして投票をやめる姿も見られた。



これが投票率の低下に拍車をかけたのでなければ良いのですが。
こういう情報を手に入れて、投票所に行くのをやめてしまうのは、きっと若者でしょうし、若者が選挙に行きたくなる仕組みがない上に、情報ばかりが阻害する。
それに、ただでさえ投票に迷う(誰に入れていいかわからない)選挙だったのだから、投票所でも時間がかかってしまう人も多かったのではないでしょうか。迷うことは悪いことではないけど、それが列をなすほどというのは、投票所の作りにも問題があるのではないかと思います。

投票所というと小学校や公民館だったりするかと思いますが、普段は土足で上がれない場所に土足で上がるようにするので、その整備にも時間とカネがかかりますし、投票所で投票箱を見張っている人たちのバイト代もかさみます。

例えば、品川区は、衆議院選挙のために1億1470万円あまり、都知事選挙のために1億3009万円あまりの補正予算を組んでいます。
これが全国規模で付き上がれば相当な額になるわけで、それを復興予算に回せませんか?と言いたくなる額です。

こうした、選挙に伴うかね、人、不便、そういうものが今の選挙法では放置されているわけです。

場所と手間と人と金の解消には、ネット投票で携帯電話やスマホからどこでもできるようにするのがいいのではないかと思いますが、なぜそこに手を付けないのか。

そういた根本的な解消をしないと、投票率は上がらないように思います。
投票所まで行くという手間と投票所作成にかかる金を同時に抑制する仕組みはITが得意とするところなわけです。
自分が投票した瞬間に投票率が変化するのが見えるとか、投票の伸びが見えるのが楽しいことは、昨日、選挙特番のために時間が繰り上がったTHE MANZAIを見ていればわかります。
視聴者参加型の投票というのがテレビでできて、なぜ選挙で出来ないのでしょう。

しかも一票の格差は解消されていない選挙で、議員にとっても格差は大きな問題だと思うのですが。

1票の格差:2.425倍 2倍超は72選挙区@毎日新聞

 衆院選挙区画定審議会設置法は、1票の格差が「2倍以上とならないことを基本とする」と定めている。今回、2倍を超えた選挙区は72となり、格差が最大だったのは野田佳彦首相の選挙区となる千葉4区



一票の格差是正は野田さんの使命だったことがわかりますね。
投票する側の一票の格差もあるし、何人に支持されて議員となったかという意味では、議員の重みも変わってくる。
3倍の得票でも苦杯=高得票当選・低得票落選【12衆院選】@時事ドットコム

 9万票超でも落選し、3万票弱でも当選-。小選挙区の「1票の格差」が是正されないまま行われた今回の衆院選。大都市部で多数の票を得ながら、比例代表でも復活できなかった候補がいる一方、地方では少ない得票数で議席を得た候補もいる。



一票の格差是正とともに、選挙制度も見なおすべきではないかと思います。

与野党は衆院解散した先月16日、格差是正のため、福井、山梨、徳島、高知、佐賀の5県で定数を1ずつ減らす「0増5減」案を盛り込んだ法律を成立させた。しかし、今回の衆院選は区割り見直しが間に合わず、違憲状態のまま選挙を実施。最高裁から違憲状態と判決を受けたまま衆院選が実施されたのは1983年の中曽根康弘内閣以来で、現憲法下では2度目の異例の事態となった。



違憲な状態であることを自覚して突入した選挙ですから、選挙区割の見直し、定数是正という問題は早急に答えを出す必要がありますし、それは、この5減くらいの話ではすまないだろうと思います。

さらに今回、二度目の政権交代があったことで、政権交代しやすい仕組みとして導入された今の選挙制度は、根本的に見なおして良いのではないでしょうか。
死に票の多い小選挙区と、復活という言葉が使われる比例代表並立制は、この16年間で何度となく与野党を変える効果はあったかもしれないけど、それがこの国の政治を弱体化し、ポピュリズムが跋扈する原因なのではないかという気がしてきます。

追い風だの逆風だのという表現ばかりで、政治がその時吹いている風で決まってしまうような感じ。
つまり、風に流されるような国になってしまった。

お天気しだいの投票率で、風まかせの候補者達。
その間に地面は揺らぎ、空からはなにか見えないモノが落ちてくる。

まずは地に足つけて政治を進めてもらえるような制度づくりから初めてもらえないでしょうか。