東日本大震災では、多くの方が津浪でなくなった。
なので、津浪への防災に関心が集まっている。

そのとき、高い津浪に対応した「高い防波堤」を建てようとする国や官僚と、
津波が来たあとで同被害を少なくするかにシフトしようとする地元自治体、という構図が見える。

国交省が大津波シミュレーション!高知、木更津などで堤防突破@ZAKZAK

> 国土交通省は2月29日、大規模地震により最大級の津波が発生すれば、関東から九州までの太平洋側主要19港湾のうち高知港など少なくとも8港湾で最も沖側にある防波堤を乗り越えるとのシミュレーション結果を公表した。東日本大震災では津波が乗り越えた防波堤は倒壊など大規模損傷が目立っており、国交省は結果を受け、今夏をめどに防波堤の強化や被災時の迅速な復旧など総合的な対策をまとめる。



確かに高い堤防が津浪から村を守ったという話もある。

明治の教訓、15m堤防・水門が村守る…岩手@YOL

>防潮堤は1967年に県が5800万円をかけ、水門も84年にやはり35億円を投じて完成した。既に一部が完成し60年にチリ地震津波を防ぎ、「万里の長城」と呼ばれた同県宮古市田老(たろう)地区の防潮堤(高さ10メートル)を大きく上回る計画は当初、批判を浴びた。

 村は1896年の明治三陸津波と1933年の昭和三陸津波で計439人の犠牲者を出した。当時の和村幸得村長(故人)が「15メートル以上」を主張した。「明治に15メートルの波が来た」という言い伝えが、村長の頭から離れなかったのだという。



でも、三陸の海沿いに、15メートルの堤防が林立する姿は、想像するに、そのほうが脅威だ。
多分その姿は、漫画「進撃の巨人」で、巨人の侵入を防ぐために作られた高さ50メートルの壁に囲まれた街のように見えるだろう。

「進撃の巨人」では、結局、巨人より大きな壁を作ったつもりが、それよりも大きな巨人が現れ、人間は巨人に”飲み込まれて”いく。
これは、あまりにも直接的な啓示だ。

どんなに高い「壁」を作っても、相手がそれを超えてくればどうしようもない。
この壁だけで守られていると思う「安全」の作り方は、今回の大震災で実に不安定なものだとバレたはずだ。

安全をいいつのることで壁を低くして事故が起きた原発と、
安心を求めて壁を高くしようとする堤防づくりは、根が一緒なのではないだろうか。
自分の頭で考えて、幾重にも工夫をこらすことから遠い発想だという意味で。

津波堤防かさ上げ見直す動き…住民「景観壊す」@YOL

>国の中央防災会議は昨年、東日本大震災クラスの巨大津波は堤防などのハード対策と避難などのソフト対策の組み合わせで対応し、数十年から百数十年に1度の「頻度の高い津波」は堤防などハード対策で防ぐとした。これを受け、国や県などでつくる調整会議が昨秋以降、過去に発生した津波の高さや想定実験などのデータを基に、県や市町村が堤防を復旧整備する際の高さの目安を示した。



海沿いの街で、海が見えないほど高い堤防に阻まれて生きることには耐えられないと思う人が多いのだそうだ。
毎日暮らすことを考えれば、いつ来るかわからない一瞬のために、家から海が見えないのは辛いだろう。

もうひとつ堤防が高いからといって災害が防げると思えないのは、慣れてしまうと危機意識が欠けるのではないかと思うからだ。

私が見た宮古市の映像で、3階から海を見ている市役所職員には津波が来るのが見えるのだけど、堤防が高いので地面にいる人には、まったく津浪が見えず、職員が声をかけても下にいた人たちは危機感にかけていたというシーンがあった。

大津波の教訓 DVDに@asahi,net

>タイトルは「堤防を越えた津波 映像からわかる津波の動きと避難行動」。津波の映像は、地震発生から約30分後、岩手県の宮古湾に注ぐ閉伊(へい)川の河口の様子を、宮古市水産課の職員が庁舎5階から撮った。引き波が起き、津波が押し寄せ、堤防を決壊させるまでの一部始終を収めている。



高い堤防から津浪が溢れてくるまで気が付かないというのは、かえって危険なのではないか。
津波の力が弱いうちに早く気が付き、逃げる体制に入ったほうが助かった人が多かったのかもしれない、とも思えた。

この辺は、DVDを見て検証して欲しい。

>DVDは前・後編の2枚組み(計87分)。税込み3千円。売り上げの一部は宮古市に寄付する。販売や問い合わせはMCT(0995・43・0113)か、同社インターネットサイトへ。



何れにしても、津浪という巨人と戦うには、堤防の高さではなく、幾重にも抵抗する道路の嵩上げとか、人間の叡智をもっと使って、組み合わせていかなくてはいけない。
補助金が出やすいとか、一括で発注できるものではなく、
地元のチエが必要なのではないかと思う。

そのヒントは、ひょっとすると「進撃の巨人」の中にあるのではないか?
そんな気がしたのだ。

by カエレバ

by カエレバ

by カエレバ