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長いタイトルですが、そのままの内容です。

紹介する調査は、NHKの視聴者像調査とその分析結果。
2月7日のNEWSWEBで紹介されました。

調査はNHK放送文化研究所がその時代の視聴者像を浮き彫りにしようと、10年ごとに全国調査しています。
今回は以下の2つの調査を行い、分析しました。

(1)「配付回収法」
▽調査期間/2012年11月17日〜11月25日
▽調査対象/全国の16歳以上の国民
▽調査相手/住民基本台帳から層化無作為二段抽出3600人
▽有効数(率)/2506人(69.6%)

(2)「個人面接法」(時系列調査)
▽調査期間/2012年11月2日〜11月18日
▽調査対象/全国の16歳以上の国民
▽調査相手/住民基本台帳から層化無作為二段抽出2094人
▽有効数(率)/1408人(67.2%)



調査のサンプリング数として適当かどうかを考えると、実はこれは結構大きな数字で、視聴率調査のサンプリング数が全国27地域6600世帯であることを考えると、まあまあの数字ではないでしょうか。
(以下視聴率に関する数字はビデオリサーチ社「視聴率調査について(視聴率ハンドブック)」より)

細かい数字が見たいところですが、分析結果しか出てないので、それを見ますと、まず最初にテレビの見方についての結果が出てきます。

調査の結果、▽テレビ番組を録画して好きなときに見たり、▽インターネットを利用して好みの番組の動画を見たり、そのいずれかを週に1日以上する人は、全体の45%に上っていました。
これを年代別に見ますと、▽60歳以上の年代では、こうしたテレビの見方をする人の割合が25%だったのに対し、▽30歳から50歳の年代は56%、さらに▽16歳から29歳は、62%に上り、若い年代ほどテレビの放送時間にとらわれない傾向にありました。



テレビは録画してみるか、ネットで見る人(週1日以上)が45%。
若い世代では6割超ということで、生で見る人が少ないということがわかります。
これは、実感に即してますね。我が家でも生と録画は半々くらい。
とくに妻は、好きな番組を録画しておいて、休みの日に見ています。
大体、ゴールデンなんて言われても、家にいませんからね。

テレビ番組を録画して見る人にその理由について複数回答で尋ねたところ、▽「自分の都合のよいときに番組を見たいから」が最も多く81%、次に▽「放送時間にしばられたくないから」が38%、▽「時間を有効に使いたいから」が37%でした。



ネットで見る人も見逃したから、であり、視聴者は好きな時間に好きな番組を自由に見たい。
これは、当然の欲求です。ビデオが出てきて以降、テレビは生で見るとは限らないものになりました。
そして、それだけ「見る人の数」が多い番組と「視聴率が高い」番組に差が出始めたのではないでしょうか。

いまや、全番組を1週間録画できるテレビなどというのが登場し、ますますTVを見る時間の自由度があがり、さらにタブレットで持ち出しとか、スマホで続き、とか言い出して、見る場所の自由度も上がっています。

そして、その好きな時間に好きな場所で見るテレビ、という行動とは別に、生でTVを見る楽しみに加わったのが、テレビを見ながらTwitterやFacebookに感想を書くという行為です。
これを、さとなおさんは「ネオお茶の間」と名付けています。(「明日の広告」
NHKの調査でも明確にこの傾向が明らかになっています。

テレビに関する情報や感想をSNSで読み書きする理由について尋ねたところ、▽「他の人の感想を知ることができるから」や、▽「同じ好みや趣味の人と情報や感想を共有できるから」と答える人が多くいました。
なお、この質問について、若年層の場合は「自分の感想を他の人に伝えることができるから」「みんなでテレビを見ている気がして楽しいから」などが全体より高く、コミュニケーションを理由に挙げる人が多い傾向がうかがえました。



生でハッシュタグをつけてつぶやく、というテレビ番組のイベント化を公式に行ったのが紅白歌合戦でした。

NHKは調査結果を分析して、番組の盛り上げに生かしているということでしょうか。

テレビが消えるとか、マスメディアが亡くなるとか言いますが、まだまだテレビはメティアの中心に居ます。

さまざまなメディアなどの中から暮らしに欠かせないものを1つだけ選んでもらったところ、テレビを選択した人は半数以上の51%に上りました。
しかし、若い世代ほどテレビを選ぶ人が少なくなり、16歳から29歳の男性は、31%がウェブサイトを選び、テレビは23%にとどまりました。
また、16歳から29歳の女性は、テレビが23%、音楽が22%でほぼ並び、ウェブサイトは15%でした。



ただ、私が子供だった頃のように、テレビしかなかった時代ではなく、「テレビもある」「テレビとネットを組み合わせると面白い」といった、テレビを核にしつつもソーシャルメディアと連携した楽しみがある時代になったということでしょう。

テレビ番組は一人で見るよりも誰かと見たほうが面白い。
感想を共有するほうが面白い。
というのは、テレビにかぎらず人間がコミュニケーションで成立している動物である以上当然おのことのように思えます。

そして、視聴率調査に抜け落ちているのは、このコミュニケーションだったり、自由度だったりします。

今や視聴率調査は、独占企業によるものだけです。
ビデオリサーチ社だけが、視聴率調査を行い、その数字をテレビ局等に提供しています。

視聴率には「世帯視聴率」と「個人視聴率」があります。

世帯視聴率
テレビ所有世帯のうち、どのくらいの世帯がテレビをつけていたかを示す割合。一般的に使われる「視聴率」とは、この世帯視聴率のことです。

個人視聴率
世帯内の4歳以上の家族全員の中で、誰がどれくらいテレビを視聴したかを示す割合。視聴者を、性別・年齢別・職業別などに分けて、どれくらい見られていたかを知りたいときに利用されています。



そして、テレビで生で見たものだけです。

テレビの録画やゲームは視聴率に含まれません。

視聴率の対象となるのは、地上波放送、BS放送、CS放送、CATVなどのテレビ放送です。
録画再生視聴、携帯端末などでのワンセグ放送視聴、テレビゲームなどは視聴率に含まれませんが、
パソコンテレビによるテレビ放送の視聴は視聴率調査の対象となります。



さらに、1家に8台までのテレビが調査できます。
これは、ピープルメータ(PM)というシステムを用いて、世帯視聴率と個人視聴率を同時に調査する方法です。

Step1 調査対象世帯内での視聴状況測定
家庭内の最大8台までのテレビの視聴状況を測定します。チャンネルセンサーで視聴しているチャンネルを測定するとともに、PM表示器には世帯内の個人各々のボタンがあり、視聴の開始時と終了時にそれを押すことにより個人の視聴を登録していただきます。ボタンには個人の顔のイラストをつけ、入力確認がしやすいよう工夫しています。リモコンによる遠隔操作も可能です。(調査対象は世帯内の4歳以上の家族全員)
測定した視聴データはオンラインメータに転送、記録されます。


この方法でデータをとっている家庭が関東、関西、中京に各600。

あとは、オンラインメータというシステムを用いて、世帯視聴率を調査する方法です。

Step1 調査対象世帯内での視聴状況測定
家庭内の最大3台までのテレビにそれぞれ接続されたチャンネルセンサーから、オンラインメータに無配線でデータが転送され、1日の視聴状況が記録されます。


52週調査する地区が8地区☓200世帯。24週調査する地区が16地区☓200世帯。

関東、関西、中京以外の地方はサンプルも少ないし、毎日とっているわけでもない。
この調査で、代表する人口が関東地区だと
世帯視聴率1%=約18万世帯
個人視聴率1%=約40万8千人
ということになります。

そして先週の視聴率トップは、サザエさん19.6%です。
2位が日曜日の7時のNHKニュースで18.7%。3位が八重の桜18.1%。

やはり、定期的に「ナマ」で見られていそうな番組が強いです。
もう、視聴率にどれだけの「中身」があるのかという気がしてきます。

NHKはすでに、この調査結果を利用して視聴率の取り方、また視聴率の無視の仕方がわかっているから、最近、面白い番組が多いのかもしれませんね。

民放は結局脱しきれてないのでしょう。

NHKと日テレ、「開局60年」共同制作@ヨミウリ・オンライン

今年、テレビ放送開始60年を迎えるNHKと日本テレビが、2月1、2日深夜に共同制作の特別番組を放送する。「テレビの未来」をテーマに両局が様々なコーナーで真っ向勝負する実験的な取り組みだ。



2013年2月2日 日本テレビ開局60年特別番組『日テレ×NHK 60番勝負』 1... 投稿者 dm_510c6b9ca2669

でも、この対決番組よりも、NHKでやっていた討論番組のほうが面白かった。

1000人が考える テレビ ミライ

放送開始から60年、日本人の生活の中心を担ってきたテレビは今、大きな転換点を迎えている。録画再生やネットの台頭など、視聴環境が変化し、それに伴って視聴率の減少や若者のテレビ離れを危惧する声も上がり始めた。
 そこで番組では、1000人の視聴者から「今のテレビ番組にどんな要望を持っているか」を抽出。
 それに対して、スタジオに集まったテレビ制作者や映像文化の担い手などが、テレビがどう変われば期待に応えるものになるかの提言を持ち寄り、議論してゆく。
 視聴者1000人は、テレビ制作者たちの議論に賛成・反対・意見を投じるシステム「千人カウンター」の担い手となり、制作者たちの提言が、テレビへの要望に応えるものか否かを判定する。そして、提言がどれだけ視聴者の期待に応えたかも測定、さらなる改善策につなげていく。
 これは、視聴者1000人による“テレビとミライ”を占うスタジオ・ドキュメンタリーである。



糸井重里の司会だったこともあり、昔の「You」を思い出した。

バラエティにするのではなく、まじめに話し合う番組に、視聴者を参加させることで注目させる。
今一番視聴者を惹きつけるのは、こういう番組なのかもしれない。

そして、多分視聴率は期待できない。
そういう番組を正面切って作っていくしかないとは思うけど、スポンサーの都合という言い訳がありますからね。

それも、スポンサーに嘘をついていた事例が発覚して、「水戸黄門」が無くなったりしているわけだし、もうテレビ制作システムは自己矛盾に陥っっているねえ。

じゃ、ネットでいいのかというとそうでもないんですけどね。

ただ少なくても、今の視聴率の取り方は、視聴者のあり方とはそぐわないことだけはわかったな、と思う次第です。
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2011年、テレビが消える―光ファイバ、ケーブルテレビ化の真相黒田 充

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