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(大相撲公式キャラ、ひよの山)

昨日、ある酒の席で思いつきで話したらば、結構面白かったので書いてみます。

日本相撲協会は、公益財団法人になる時にいろいろもめたわけですが、そのおかげもあって、改革が進んできました。

日本相撲協会公式サイト

サイトもキレイだしね。

でも、親方という指導層は幕内経験者で日本国籍じゃないといけないとか、
女性は「おかみさん」という形でしかかかわれないとか、
若手の登用がなかなか無くて、団塊世代が人事面でのさばっているとか、
巡業というイベントは地方興行主という名のヤクザが絡んでいたのをなんとか排除したとか、
いろんな側面でこれまでの日本社会を象徴していると思うんです。

時天空が「間垣」取得@日刊スポーツ

大相撲の幕内時天空(34=時津風)が年寄名跡「間垣」を5月29日付で取得していたことが17日、分かった。引退後に日本相撲協会に残って親方となるための名跡を得るのは、モンゴル出身力士では初めて。時天空は1月に日本国籍を取得している。



国際社会に開かれているように見えて、幹部は日本人だけで、女性役員がいないとか、
親方株という形で、事実上新規参入に制限があるとか
現場に若い日本人が少なくなって、外国人が支えているとか、
管理職である協会役員に自浄作用がないとか、
これまで言われてきたことを書き出しても、
なんだか日本企業の象徴のような感じがします。

しかも、少子化の影響で、新弟子は少ないし、
一時期、団塊世代の親方が多くなったこともあり部屋数が多くなったのはいいけど
結局、経営が破綻したり、後継者不足で、親方の定年後に吸収合併したりしています。
(参考:wikipedia相撲部屋Category:現在活動していない相撲部屋

時天空が取得した(購入したとか、譲られたとか、書けないのだろうねえ)間垣は、
以前、元・二代目若乃花が持っていた親方株で、間垣部屋は親方が病気で2013年に閉鎖。
空白になっていたので取得できたのですが、なかなかまれなことです。

間垣部屋 春場所後に閉鎖…伊勢ケ浜部屋に移籍へ@スポニチ

間垣部屋が3月の春場所を最後に閉鎖され、間垣親方(元横綱・2代目若乃花)や力士らは伊勢ケ浜部屋に移籍することが日本相撲協会関係者の話で分かった。



このところ、部屋の合併が相次いでいまして、同じ記事で紹介されてます。

また、放駒親方(元大関・魁傑)が2月に65歳の定年を迎える放駒部屋の力士らは、芝田山部屋に移る方向となった。芝田山親方(元横綱・大乃国)は放駒親方の弟子。関係者によると、間垣親方は体調不良のため部屋運営が困難で、同じ青森県出身の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)のもとに移る。



このサイトが、部屋の合併については詳しいです。

中小企業が、戦後数を増やしたのに、このところ後継者不足で閉めるところが増えているのと重なります。

中小企業・小規模事業者の数(2012年2月時点)の集計結果を公表します@METI

中小企業・小規模事業者の数は、1986年以降長期に渡って減少傾向にあり、今回の集計結果でもそのトレンドが持続していることが明らかになりました。



一節に400万社と言われてきた中小企業は、2012年に初の400万社割れとなり、今では360万社くらいと言われます。
後継者不足で事業承継ができないのが原因と言われています。
相撲部屋と一緒にしちゃいけませんかね?

さらに、新人を採用しても続かないのも、こうした中小企業と同じです。
せっかく弟子をとっても、きつい指導に耐えられずにやめるものが多くなり、
体罰を伴うシゴキや、先輩によるカワイガリなどもっての外です。

力士以上に問題なのは、呼び出しとか床山とか構成人員の後継者が少ないことではないかと思います。
光の当たる仕事はいいけど、重要な脇役がいないというのは、
社長はいても職人がいない日本の中小企業の問題でもあり、
日本の古典芸能全てに共通した文化継承における大きな問題になっています。

叩き上げが育ちにくい状況もあり、即戦力になる外国人や大卒新人をスカウトする傾向が強くなっています。
でも、大卒で横綱になったのって、輪島だけなんですよね。
幕内上位までは早いんですが、その上になかなか行かない。
いま話題の遠藤も、幕内上位の壁に弾かれて負け越していますしね。

ハングリーとか何とか言うのではなくて、日本人力士が心の地力が弱いのではないか、と感じます。
世界が狭いのではないでしょうか。体験レベルの差というか。
教育の問題が、日本人横綱がいない問題につながってくるとか、こないとか。

組織の閉鎖性、経営陣の能力の低さ、部屋経営の弱体化、所属人員の減少などなど。

いろんな側面から、日本社会の縮図が相撲協会なんじゃないか。
そんなことを考えたのでした。