蹴鞠


書き遅れてしまいましたが、日曜日にNHKホールに初めて入りました。

妻が知り合いから入場引換券をいただいたのでした。

第14回地域伝統芸能まつり

土日2日間開催の日曜日の部です。

はがきを1時間前に入場時に指定席と引き換えるのですが、これが並んだ順ではなくランダムに提供されるという仕組み。
そして、なんと、受け取ったのは、C2という一番前の席。
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座席から後ろを取るとこんなかんじでした。

しかもど真ん中でよく見えること。
運を使ってしまいました。

上演演目は、こちら

私たちが見たのは以下の通り。

地域伝統文化・芸能 小倉祇園太鼓(こくらぎおんだいこ) 福岡県 北九州市
地域伝統文化・芸能 蹴鞠(けまり)             京都府 京都市
地域伝統文化・芸能 おらんだ楽隊(がくたい)         千葉県 香取市
地域伝統文化・芸能 阿波人形浄瑠璃(あわにんぎょうじょうるり) 徳島県 徳島市
古典芸能(狂言) 「以呂波」             茂山逸平、茂山慶和
地域伝統文化・芸能 西嶋神楽(にしじまかぐら)     山梨県 身延町
地域伝統文化・芸能 布団太鼓台(ふとんだいこだい)    大阪府 東大阪市


地方の伝統芸能の間に、プロの狂言も見られるというお得な演目。

司会は、NHKの水谷アナウンサーと宮崎美子さん。
宮崎さんはテレビで見るよりも細くて顔が小さい。
話に澱みがなくて、アナウンサーよりもよっぽどかみません。


それにしても、地方の伝統芸能がなかなか面白かったです。

小倉祇園太鼓は、じゃんがらという鉦がリズムをリードするのが特徴。
早くなったり遅くなったり、しかも一つの太鼓の表と裏をそれぞれ別の踊りと叩き方で叩くので、このじゃんがらのリズムが音を合わせる鍵なわけです。
実に勇壮でいて単調ではない太鼓なのですね。

蹴鞠は、京都で行われる儀式の再現で、蹴鞠が糸を丸めた【毬】ではなく、鹿革で出来ているのを知って驚きました。
靴がかものくちばしの形をしているから鴨沓(かもくつ)と言うとか、色々とためになりました。

オランダ楽隊の前に、解説で作曲家の三枝成彰さんが登場。
西洋音楽が日本に来た初めは、ペリーの軍艦に乗っていた軍楽隊だった。
明治政府は軍隊強化のために音楽を導入し、その軍楽隊のリズム(行進曲=マーチ)が、香取神宮のある香取市でお囃子に取り入れられて独自の「扇島神楽隊」になった経緯を説明します。

阿波人形浄瑠璃は、浄瑠璃が盛んな淡路島から渡ったもので、人形が一回り大きい。
寿式三番叟と、子ども人形浄瑠璃クラブによる有名な演目のさわりを上演。
本格的な義太夫と太棹に、人形の使い手が子どもたちも入って3代に渡るのも微笑ましい。

狂言「以呂波」は、子どもにいろはを教えようとした親のいいブリの真似をしていた子どもが親に勝つという話。
実際の狂言師親子で演じられました。(こちら

西島神楽は山梨県身延市から、雪の中を出てきたそうです。もともと神主が始めたもので、今でも神主さんが演じ、また山梨県無形民俗文化財に指定された1964年に「少年神楽隊」を結成して50年というなかで、引き継がれてきたといいます。

最後は、枚岡の布団太鼓台。これは、元アナウンサーの下重暁子さんが解説に登場。
この人もまた、現役以上に話し上手で説明が長い。

それにしても布団太鼓って、どんなものかと思ったらば、彫り物を施した台のうえに布団が5段に積んであるもので、台の中に太鼓が下向きに貼ってあり、叩きながら練り歩く。この大が2トン以上あって、それを40人位の男たちが担いでいるという勇壮なもの。
束ねている団長が、なんともヤンキーの親玉感があって味がある顔してました。

総じて、伝統芸能を地域で継承しようという動きを着実に実行しているところばかりで、だからこそ今でも残っているのだなと思わされました。
こういう華やかな発表の場のためでなく、地域の年に一度のお祭りに人生を掛けている人がいて、保育園や学校で芸能を学ばせる地域の人達と教育の連携があって、初めて根付いて継承されていく。
アタリマエのことですが、そう言う地道な活動を続けている人を鼓舞ぶするためにも、こういう場は必要なのかもしれません。

なお、この2日間を編集して、3月15日午後2時から5時までNHKEテレで『まつりの響き ~第14回地域伝統芸能まつり』という題で放送するそうです。

ひょっとしたら私と妻は一番前の席で写っているかもしれません。
そんな楽しみも含めて、見ていただけるといい番組だと思います。